先日、エンジンが異常に振動し、加速も鈍くなった平成19年式のC25セレナの修理依頼を受けました。この車種は比較的トラブルが多いことで知られており、今回の車両は走行距離が8万キロでした。
症状の確認
車を確認したところ、エンジンが不均等に動作しており、一見するとシリンダーの一つが機能していないように感じられました。加えて、エンジン警告灯も点灯していました。
故障診断
このような症状は通常、点火系の故障が原因と考えられますが、正確な診断のために、まずはスキャンツールを接続して車両のコンピューター診断を行いました。
故障コードの確認
スキャンツールの診断結果から、1番シリンダーの失火が検出されていることが分かりました。
ただし、スキャンツールの結果だけで結論を出すのではなく、実際に1番シリンダーが正しく機能していないかを確認するため、アクティブテストを実施しました。
アクティブテストでパワーバランスを点検
エンジンの不調の原因を特定するため、1番から4番シリンダーまで順に失火テストを実施しました。このテストでは、各シリンダーを強制的に失火させ、エンジン回転数の変化を観察します。
- 1番シリンダー: 変化なし
- 2番シリンダー: エンジン回転数が落ち込む
- 3番シリンダー: エンジン回転数が落ち込む
- 4番シリンダー: エンジン回転数が落ち込む
この結果から、1番シリンダーが失火していることが確認できました。
故障部品の特定
通常、特定のシリンダーに問題がある場合、点火系(イグニッションコイルやスパークプラグ)か燃料系(インジェクターなど)、場合によってはエンジン本体のトラブルが考えられます。
経験上、点火系の不具合が最も可能性が高いと推測しました。
イグニッションコイルとスパークプラグの交換テスト
1番シリンダーと4番シリンダーのイグニッションコイルとスパークプラグを入れ替え、再度パワーバランステストを実施しました。
今度は4番シリンダーでエンジン回転数の変化がなかったため、1番シリンダーのイグニッションコイルまたはスパークプラグが原因と特定できました。
イグニッションコイルとスパークプラグの入れ替えテストの重要性
セレナのイグニッションコイル交換には、インテークマニホールドの取り外しが必要で、これはかなりの時間と手間がかかります。
故障原因の特定を正確にするため、イグニッションコイルとスパークプラグの入れ替えテストは重要ですが、時間と労力を要します。
お客様への見積もりは、修理前に正確な診断に基づいて提供する必要があります。追加のトラブルが後から発覚すると、信頼を損なう可能性があるため、事前の徹底した診断は不可欠です。
修理と交換
距離と年式を考慮し、全シリンダーのイグニッションコイルとスパークプラグを交換することにしました。交換後、故障コードを消去して、無事修理が完了しました。
イグニッションコイルとスパークプラグを交換、故障コードを消去して修理完了しました。
さまざまな部品の交換
このセレナには、エンジンヘッドカバーガスケット、エンジンマウント、トランスミッションマウントの交換も必要でした。
- エンジンヘッドカバーガスケット: イグニッションコイルを外した際、オイルが付着していることを確認し、交換を実施しました。
- エンジンマウント: 大きく割れており、内部のオイルが漏れていました。
- トランスミッションマウント: こちらも割れており、交換が必要でした。
- トルクロッドの使用: 追加の作業としてトルクロッドも使用しました。
ヘッドカバーガスケットです。
イグニッションコイルを外したらオイルが付着していたので、ついでに交換しました。
エンジンマウントです。パックリ割れて中のオイルが漏れていました。
ミッションマウントも割れていました。
この他にトルクロッドも使用しています。
まとめ
C25セレナはトラブルが多い車種であり、多岐にわたる部品の検査と交換が必要です。修理工程は複雑で、正確な診断と計画的な作業が重要です。お客様への事前の見積もりと透明なコミュニケーションは、信頼構築に不可欠です。
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