自動運転や衝突被害軽減ブレーキ装置に関する部品の脱着や交換作業をした場合
カメラやレーダーセンサーの取付角度の点検、調整が必要になります。
これがエーミング作業です。
近年衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)など自動運転技術が進んでいて、
かなり高度化しています。今販売されている新車のほとんどに、これらの装置が取り付けられています。
バンパーの脱着だけならエーミングは必要ない?
カメラ、レーダーセンサーなどに多少のずれがあっても誤作動を起こす危険があります。
例えばカメラ、レーダーセンサーの角度が1度ずれただけでも100メートル先では
1.75メートルのずれになります。
エーミングが適正に行われていない場合
- 対向車に反応して急ブレーキが掛かったり、前方の車に反応せずブレーキが掛からなかったりする危険がある。(カメラ)
- 前を走行する車を認識しなくなり追突の危険がある。(レーダー)
- 障害物に近づいても警報が鳴らなかったり、ブレーキが掛からず衝突の危険がある。
以上のことから自動運行装置やそれに関する部品の作業後にはエーミングが必ず必要です。
エーミングが必要な作業の例
- カメラ、ミリ波レーダー、赤外線レーダーの脱着、交換
- バンパー、グリルの脱着、交換
- フロントガラスの脱着、交換
エーミングの種類
エーミングのやり方には種類があってメーカー、車種によって方法が異なります。
静的エーミング
車の前方にターゲットやSSTを設置し、スキャンツールでターゲットやSSTの認識状態を確認して
カメラやレーダーの調整をする方法。
動的エーミング
自動車を走行させて自動的にカメラやレーダーの調整をする方法。
(スキャンツールを繋ぎエーミングを実行する)
自動エーミング
自動車が自動でカメラやレーダーの補正をする機能。
実際のエーミング作業
エーミングの大まかな手順は
- エーミングで点検、調整可能なスペースに車を入れる
- ターゲットを設置する
- スキャンツールで点検、調整
とこんな感じです。
設置するターゲットや設置位置は、各メーカー、車種によって違います。
作業工賃は10000円~25000円くらいです。(輸入車は高め)
ユーザー側から見ると金額が高いと思われるかもしれませんが、実際作業してみるとターゲットの設置や車両の位置調整が手順が細かく設定されていて特に初めて作業するとかなり時間が掛かってしまいます。ですのでこのくらいの工賃でも安いと思います。
エーミングに必要なもの
- エーミングに作業場所の確保
- メーカー指定のターゲット、リフレクタなど
- 水平器、メジャー、マスキングテープ、角度計、レーザー墨出し
日産ProPILOT フロントカメラユニットのエーミング
日産のプロパイロットはミリ波レーダーは使用せず、フロントカメラで制御しています。
エーミングに必要な作業スペースです。
トヨタプリウスのエーミング
トヨタプリウスのエーミングはフォワードレゴニッション(フロントガラス)と
ミリ波レーダー(フロントエンブレム)を使用しています。
- 水平確認
- SST設置
- スキャンツールにて調整
ミリ波レーダーのエーミング(光軸調整)
フォワードレゴニッションカメラのエーミング
これからの先進安全技術について
先進安全技術は今、技術開発競争の途中にあります。
各自動車メーカー等において性能向上に向けて取り組んでいます。
最終的には完全自動運転(レベル5)を目標に進んでいるのだと思います。
現在ホンダのレジェンドが世界初のレベル3の自動運転を発売しました。レベル2までは万が一事故が起きても運転者に責任がありましたが、レベル3は条件付き自動運転時の事故はシステムの責任になります。ですのでレベル2とレベル3では大きな違いがあります。
レベル1 運転支援
- 自動ブレーキ
- 前の車に付いて走行(ACC)
- 車線からはみ出さない(LKAS)
レベル2 特定条件下での自動運転機能
- 車線を維持しながら前の車に付いて走行(ACC+LKAS)
- 高速道路で遅い車を自動で追い越す
- 高速道路の分合流を自動で行う
レベル3 条件付き自動運転
- すべての運転タスクを実施するが、システムの要求に対してドライバーが対応する
(ホンダ レジェンド)
レベル4 特定条件下での完全自動運転
- 特定条件下でシステムがすべての運転タスクを実施
レベル5 完全自動運転
- システムがすべての運転タスクを実施
コメント