こんにちは。今回は、走行中に発生する異音の修理事例についてご紹介します。
「走行中に前の方からゴーゴーと音がする」とのご相談を受け、ダイハツ ムーヴ(DBA-LA150S)が入庫しました。
お客様のお話では、速度に比例して音が大きくなるとのこと。まずは試運転を行い、症状の再現を確認します。
■ 車両情報
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車種:ダイハツ ムーヴ
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型式:DBA-LA150S
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年式:平成27年(2015年)
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駆動方式:FF(前輪駆動)
■ 走行テスト
走行してみると、確かにフロント側からゴーゴーというこもったような異音が確認できました。
ハブベアリングやドライブシャフト、タイヤ周辺が疑わしいと判断し、リフトアップして点検します。
■ 異音点検(サウンドスコープ使用)
車両をリフトアップし、前輪を空転させながら**サウンドスコープ(聴診器)**を使って異音の発生源を探ります。その結果、フロント左側ホイールベアリング付近からゴロゴロとした異音が確認されました。
点検の結果、フロントハブベアリングの交換作業を実施することになりました。
フロントホイールベアリング交換手順
ホイールベアリングはハブに圧入されているため、プレスを使用して交換します。
そのため、まずフロントハブ、ナックルを車両から取り外す必要があります。
フロントハブ、ナックルを車両から取り外します。
ブレーキ周りを取り外します。
スライディングハンマーを使用して、ホイールハブを抜き取ります。
(プレスでも抜き取れます。)
ストラットのボルトナット、ロワーアームのナットを外します。
タイロッドエンドを取り外します。
ナックル、ハブが外れました。
ホイールベアリングのスナップリングを外します。
プレスを使用して、古いホイールベアリングを抜き取ります。
ホイールハブに残った古いベアリングの内輪(インナーレース)を取り外します。
プレスを使用して、新品のホイールベアリングを圧入します。
最後まで圧入した後、10~20tくらい圧力をかけます。
スナップリングを取り付けます。
ホイールハブを圧入します。
これでベアリングの組付けは完了です。
あとは元通り車両に取り付けて作業完了です。
まとめ
今回ご紹介したフロントハブベアリングの交換作業は、分解整備に該当します。
作業にはナックルの脱着が必要であり、ボールジョイントプーラーなどの特殊工具が不可欠です。
さらに、古いベアリングの脱着・新品ベアリングの圧入には油圧プレス機が必要となり、一般的な工具だけでは作業を進められません。
こうした作業は、少しのミスが足回りの重大トラブルや事故につながる恐れがあります。
したがって、素人やDIY初心者が挑戦するべき内容ではありません。
異音やベアリングの異常を感じた場合は、無理をせず、必ず信頼できる整備工場やプロのメカニックに依頼するようにしましょう。
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